弁護士による相続相談【弁護士法人心 津法律事務所】

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自筆証書遺言の書き方に関するQ&A

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2025年3月19日

自筆証書遺言はパソコンで打ち込んだものを印刷することで作ってもいいのでしょうか?

自筆証書遺言は手書きで書く必要がありますので、パソコンで打ち込んだものは有効ではありません。

遺言書の作成方法は厳格に法律で定められており、遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、押印して作成する方式をとらなければなりません。

一方で財産目録については、遺言者が自分の財産を列挙する際に、遺言書に直接書かず、相続財産の目録を添付する方式の場合、その目録に関しては自筆でなくともよいことになっています。

パソコンで作成したり、預貯金の通帳のコピーなどを利用することも可能です。

なお、自筆でない場合、差し替え防止のため、各ページに署名押印が必要です。

参考リンク:法務省・自筆証書遺言に関するルールが変わります。

自筆証書遺言を書く際の「押印」にはどのような「印」を使用すればいいのでしょうか?

法律上、自筆証書遺言に使用すべき印章には制限がなく、認め印や指印でも一応問題はありませんが、実印が望ましいです。

自筆証書遺言に押印を必要とする趣旨は、日本の慣行ないし法意識上、重要な文書については、作成者が署名した上で押印をすることによって文章の作成が完結することから、その信用性を担保するためのものとされます。

そのため、本人の真意で押されたことが分かればいいので、実印でなくともよく、指印でもよいということになります。

(参考になる判例:平成元年2月16日最高裁判所小法廷判決

しかし、最低限の要件は認印でも満たしますが、遺言書の押印が認印であると、本当に遺言者本人が押したものなのかが争いとなり、遺言無効訴訟に発展した事例もあります。

そのため、遺言書作成の際には、実印を使うことを推奨します。

また、図案化された署名、いわゆる『花押』は、印章の代わりであるとは日本の慣行ないし法意識上認められず、押印の代わりにはなりませんので注意が必要です。

(参考になる判例:平成28年6月3日最高裁判所小法廷判決

自筆証書遺言を書いた際に、誤字をしてしまい、修正液で修正したのですが、問題ないでしょうか?

自筆証書遺言については、その修正方法も法律で定められており、修正液はその方法に反し、遺言が無効と判断される可能性があります。

民法上、自筆証書遺言の修正方法は

①遺言者が

②その(加えたり、削除したりする箇所の)場所を指示し

③これを変更した旨付記し

④これに署名し

⑤変更場所に印を押すこと

で修正の効力が生じます。

簡単に言えば、間違えたところに二重線を引いて、正しい字を書き、二重線上から印を押した上で、欄外か末尾に「第1項2行目 2字削除2字加入((署名))」という形になります。

このように大変手間複雑なものになりますので、長文にならない遺言でしたら、全て一から書き直すというのも1つの選択です。

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